フランス人のバカンスの過ごし方

こんにちは。

フランス人と一緒に過ごすようになって少しずつ分かってきた、フランスにおけるバカンスの実態。

一言でいうと、日本と感覚が全く違います。

その背景には、誰もがバカンスを存分に取得して楽しむ国民性のようなものも影響していると感じます。

今回は、フランス人にとってバカンスとは何なのか?

私が見て感じたことをまとめました🌞

フランス人にとってのバカンス

バカンスなしにフランスは語れないほど、

フランス人にとってバカンスは人生の最重要項目といえるのではないでしょうか。

ここの国の人々は、バカンスに命を懸けて、日々仕事をしています😇

「夏のバカンス」はその筆頭で、

少なくても2週間、多ければ4週間ほど連続して”バカンス” という名の夏休みを取るのがフランス人。

また、冬バカンスの場合はアルプスの山々へスキーやラケットをしに行ったりします。

ポイントは、子供だけではなく、働く大人もしっかりと長期休暇を取得すること。

フランスの国が定める有給休暇日数は、年間25日。

土日と繋げて、大抵5週間ほど、誰もが自由に休暇を取る権利が与えられています。

その他、国の法定労働時間である週35時間を超す労働をした場合、

その分の労働時間を代休として取得することが出来ます。

これがRTT(Réduction de tempes de travaille)と呼ばれる代休制度です。

例えば、週39時間労働の場合、年次休暇25日に上乗せして、さらに休暇を取得することが可能となります。これがだいたい年間2週間~3週間。

つまり、労働契約の条件にもよりますが、

多い人は合計8週間ほど年間で有給休暇が取れることになります!

私が日本で働いていた頃に付与されていた、

年間有給日数が42日間(前年度の繰越し日数含む)。

日数だけ見ると、とても多い!

でも、そのうち実際の取得日数は年間5~7日間ほどでした。

取れるものなら、全て有給消化したかったけれど、日本社会ではそんな訳にもいかず、、

有給制度に関しては本当に日本と感覚が違うなーと思いながらフランス人を眺めています。

逆に、日本人は休暇を取らない(取れない)とどれだけフランス人に説明しても、
「なんであるのに取らないの!?」と言った具合で、なかなか理解してもらえません。

フランスの人々は、バカンスのために働いているのでは?と思ってしまうほど。

たぶん、この国からバカンスを排除してしまったら、フランス人たちが皆怒り出して暴動が起きると思います😂!

冗談ではなく。

毎年、長期バカンスへ行くために、日々の生活費を少しばかり節約してバカンス貯金をしている人もいます。

私の周りの人たちを見ていても、

与えられた有給休暇は毎年全て使い切るのが普通のようで、みんな遠慮なくお休みを取っている様子です。

(みんな本当にしょっちゅう休んで出かけているように見える😂)

このようにフランスでは会社から与えられる年次有給休暇は、全てバカンス休暇として毎年綺麗に消化されていきます。

また、体調が悪い場合や病気で仕事を休む場合は、

”Arrêt de travail” と呼ばれる休みがフランスには別に存在し、病院でお医者さんによりこの診断書が発行されます。

この診断書を会社側に提出すると、個人の有給休暇を消化することなくフランスでは仕事を休むことができます。
(Arrêt de travail が病院で比較的簡単にもらえてしまうため、たまにフランス人の間で議論になることも。)

所謂、日本で言う「傷病休暇」がArrêt de travailに当たりますが、

日本のようにどうしても重い病気になってしまったとかいうレベルの話ではなく、

本当にちょっとした風邪・インフルエンザ・気持ちの落ち込みなどでも、Arrêt de travail が発動され仕事をお休み出来てしまうところが、日本人の私からするとビックリです。

そのためか、フランス人の感覚では、有給休暇はあくまでもバカンスのための ”楽しむ休暇” であって、

有給休暇を風邪や病気による休みのために取得することは鼻から考えていない人が多い印象です。

そんな背景があり、

フランス人は与えられた有給休暇をほぼ100%、自分のバカンスや楽しい休暇に充てることが出来るようです。

特に、夏のバカンスは皆さん、海や山などの自然のある田舎へ行くものだから、7月下旬から8月の都市(パリやリヨンなど)は本当に住民が街からいなくなり、静かになります。その代わり外国からの観光客が増えるのがこの時期。

都会のカフェやレストランは、観光客向けのお店しか殆ど空いていません。

近所のパン屋さんもお肉屋さんもカフェの店員さんもケーキ屋さんも、みーんな夏バカンスのために見事に数週間から一か月間、店じまいしてしまうのです。

それぐらい、フランス人にとってバカンスのお休みはとても大切な日常のご褒美なのです。

フランス流バカンスの過ごし方は「何もしない」

ここで、フランス流バカンスの過ごし方についての王道をご紹介します。

フランス人のバカンスの過ごし方

  1. 2週間以上の長期休暇を取得
  2. 自然の豊かな田舎・海辺・森・山などに週単位でコテージを借りる。
    プール付きの滞在先がほとんど。
    (バカンスのための別荘を所有している人もいる)
  3. バカンスの行き先は都会ではなく田舎。
  4. バカンス中は特に何もせず、のんびり過ごす。
    (日中プールに入ったり、美味しい物を食べたり、山歩きをしたり、お昼寝したり)
  5. 予定を詰め込まない
  6. 夏は海辺で寝そべって、ただただ日焼けする。

フランスの人々は、基本的にのんびりと数週間のバカンスを過ごします。

バカンス中は、会社のパソコンを開くこともなければ、会社の人達のお土産に頭を悩ませることもありません。

完全なOFFモード。

バカンスを取る目的は、

日常生活や仕事から完全に離れて、純粋にリラックスした時間を楽しむことです。

だから、フランス人はバカンス中は予定を詰め込んで行動するのではなく、心の赴くままにのんびりと時間を過ごします。

まさに、「何もしない」バカンスがフランス人にとって最高のバカンスなのです。

週単位で借りられるバカンスの宿泊先は、洗濯機や台所付きの一軒家やログハウスのような作りのコテージが多いため、

ある日は簡単にアパートでご飯を作って食べたり、別の日は地元のレストランで地産地消、美味しいご飯を食べたりしてバランスを取ります。

ここでも、時間があるからといって、料理に躍起になったり、本格的に掃除をするのではなく、

あくまでもバカンス中であることを大前提に家事は必要最低限。
言ってしまえば手抜きにするのがフランス式。

みなさん、バカンス時期になるとまるで民族の大移動のように、

車のトランクに荷物を目いっぱい詰め込んでルンルンしながらバカンス先へ向かいます。

私は、フランスに住み始めた頃、

このようなフランス人のバカンスの過ごし方を理解しておらず、折角の旅行なのだから、

あれもこれもと、かなり詰め込んだ計画を立てていました。

もちろんそれでもいいんです!

でも、フランス人に言わせると、計画をみっちり立てて大きな都市やほかの国を訪れる旅行は、Voyage(ヴォヤージュ)なんだそうで、

フランス人が思い浮かべる ”Vacances(バカンス)” とはまた少し違うらしいです。

私にとって、”バカンス=休暇” という一択でしか考えたことがなかったので、

Vacances と Voyage の違いを聞いてなるほど然り、かなり衝撃を受けました。

フランス人と一緒にバカンスを過ごして気づいたこと

実際に、フランスの人々に混じってバカンスを過ごしてみると、色々な発見があります。

初めはフランスの田舎でバカンス中、特にやる事もなくて時間を持て余していました。

もともと、計画的に予定を組んで旅することが好きな私は、ただ何もせずぼーっと過ごす時間がもったいない!とさえ思っていました。

でも、フランス人と同じようにバカンスを過ごすうちに、途中でフランス流バカンスの良さにも気づくことが出来ました😊

本当にストレスフリー✨

どんなにぐーたら伸び伸び過ごしていても、誰にも怒られることなく、文句を言われることもなく、笑われることもなく、

「バカンスだもん楽しんでね😉!」って言ってもらえます。

それこそ、昼間からプールに入ってプカプカ泳いだのなんて子供の時以来。

蝉の大合唱を聞きながら、プールサイドや海辺で日焼け&お昼寝したことなんて殆ど初めて。

みんなでテラスで採れたての甘い桃やスイカを食べたり、バーベキューしたり。

地元の生産者のところに、新鮮な野菜や美味しいお肉を買いに行ったり。

夕方、庭でビールやロゼを飲みながらみんなでペタンクしてワイワイ盛り上がったり。

ディナーの後にScrabbleやチェスをして遊んだり。

朝、野生の野うさぎが森から庭にやって来るのをこっそり眺めたり。。

フランスのバカンスのお蔭で、

普段の生活では気づかない、小さな幸せや忘れがちな心の豊かさを思い出すことが出来ました。

フランス人のバカンスの過ごし方見ていると、本当に人生を楽しむことが上手いなーと感心します。

そこは見習いたいところ!

でも、これは有給が沢山取れるフランスだからこそ出来る事ですよね。

日本だと、どうしても貴重な休暇を目いっぱい楽しみたいからと、かなり詰め込んだ旅の計画を立ててしまいがち。

でも出来ることなら、勇気をだして、、

一週間だけでも、フランス式ののんびりとした休暇を日本の皆さんにもお試しで味わって欲しい✨

とても心身がリフレッシュできて、仕事とプライベートの良いバランスが取れるいい方法だと思います😊

フランスの人達はお金があってもなくても、それぞれの楽しみ方でそれぞれのバカンスを思いっきり満喫します。

高級なブランド品にお金を使うのではなく、家族や友人とのバカンスにお金をかける人達。

これがフランス人の人生における価値観なんだろうなーと学ぶことも多いです。

最後までご覧いただきありがとうございました😊